《MUMEI》

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わたしは眉間にシワを寄せて、誰?とさらに尋ねると、

千影は少し、考え込むような感じで、こう答えた。


「じいちゃんの知り合いに、汐見っていうひとがいて、その子供が確か《マサカド》って言ったような…」


わたしは瞬き、それから半眼で彼女を睨む。


「じいちゃんの知り合いって、茶飲み友達かよ?」


バカにしたように言ったわたしに、千影は首を振った。


わたしを見つめて、はっきり答えた。


「違うよ、仕事関係のひと…」





…………仕事関係?





訳がわからず、眉をひそめて黙り込むわたしに、

千影はとんでもない言葉を、平然と付け足した。


「代議士だよ。じいちゃん、総理大臣だったからさ」





…………代議士?


って!!


つまりは………。





「衆議院議員ってこと!?」


勢いよく椅子から立ち上がって叫ぶと、千影は怯んだが、うん…と頷く。


「じいちゃんはもう引退したけど、汐見さんはまだ現職のはず」


わたしは呆然とした。



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