《MUMEI》 . 思い出しては、ついニヤニヤしてしまう。 …………ソウさん、 わたしに『また会いたい』って、思ってくれたんだよね。 それに、 仲良くしたいって、言ってくれたし。 夢みたいだなァ…。 フフフッと思わず唇から、笑いがこぼれ落ちたとき、 「ずいぶん、楽しそうねェ…」 隣に座っていた巴の、冷めきった声が飛んでくる。 ビックリして振り向くと、巴が半眼でわたしを睨んでいた。 彼女は表情を変えずにつづける。 「まさか、《真田 宗一郎》のこと、考えてたんじゃないでしょうね?」 鋭いところを突いてきた。 わたしは緩みきった顔をキリッと引き締める。 「まさか!全然!!」 首を横に振り、否定したが巴はあまり納得しなかったのか、どうだか…?と唸りながら、わたしをジロジロ見つめていた。 …………そんな、あからさまに疑わなくても。 事実だから、なにも言えないけどさぁ。 犯人を取り調べる、刑事のような目つきの巴に緊張していたが、そのうち彼女は飽きたのか、まぁいいや!とため息まじりに呟いた。 「とにかく、男と接触するなんてありえないし、しかも、相手が真田 宗一郎なら、なおさら!」 なぜ『なおさら』、なのか。 それを問いただそうとしたとき、 「中塚さん」 名前を呼ばれたので、振り返る。 そこには、小田桐 美濃さんが立っていた。 しかも、今まで見たことないくらい、ニコニコほほ笑んで。 . 前へ |次へ |
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