《MUMEI》 ガタガタと騒がしい、女の高笑いが響き渡る。 「ああゆまあああただあいまあ〜、」 乱雑に物が放られる音がした。 「あーゆまちゃーん?どこぉ、どこなのぉ?ママ帰ってきたよぉ。」 母親が帰ってきたようだ。だが、あゆまの居所はこっちが聞きたかった。 あゆまが、19時を過ぎても帰ってこない。 そうとは知らない母親は暢気に騒がしくあゆまを探している。 「ここかあああ?」 襖を開けられたが、俺と目が合う。 色を失ってゆく肌が、よりルージュの深紅を浮き立たせる。 俺は這いながら、その場を立ち去るしかなかった。 前へ |次へ |
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