《MUMEI》

勢いよく相手の方へ駆け出し、
素早い動きでステップを踏む。


突然のことに相手は少々驚いたが、
すぐに体制を整えて次の動きを伺っている。


俺は今度は小さく、更に早くステップを踏んだ。


そして右へ大きく踏み込んだように見せかけて、
前へ飛び込みようにして左へ移動する。


フェイント。


相手はかなり困惑しているみたいだ。


俺はその隙を逃さず、
そのまま走り抜いた。


「っしゃあ!」


ついに相手を突破した!


嬉しさの余り、ついガッツポーズをとってしまった。





先輩に学んだこと。


それは体格の差を利用すること。


つまり、欠点を逆手に取るということだ。


外国人は良く言えば大胆、悪く言えば雑。


いくら日本人よりも体格差に部があっても、
それは逆に不利になる時がある。


ガードこそは良くても、スピードが無い。


更に動きが鈍い部分がある。


しかし日本人ならば背丈も小さいことから、
素早い動きが可能だ。


更に日本人はふくらはぎが発達しやすい傾向がある。


故に、ステップやドリブルなどといった、
細かい動きが得意なのだ。

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