《MUMEI》
バトル勃発
.


−−−すると、



「ダメ」


不意に固い声が響いた。わたしと義仲は同時に振り返って、


目を見張る。


春蘭さんが、鋭い眼差しをわたしたちに向けていた。


その瞳の冷たさに、

思わず、背筋が寒くなる。


いつもの朗らかな表情が、ウソみたいだ。


春蘭さんは、ダメ、ともう一度、繰り返した。


「ヨシナカ、わたしと一緒…ずっと、傍にいなきゃダメです」


押し殺すような低い声でそう良いながら、彼女は義仲の袖を、グイッと引っ張る。


「わたし、ヨシナカに会うために、日本に来まシタ。ヨシナカがわたしの面倒見るの、当然ネ…フィアンセだから」


そして春蘭さんは、わたしをジロッと睨みつけた。


「あなた、わたしたちと関係ナイ。ヨシナカは、わたしのモノ。あなた、邪魔デス」



………なんですとッ!!



わたしは春蘭さんの傲慢な態度にいきり立ち、こっちの台詞だッ!!と言い返した。


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