《MUMEI》

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「あんたが邪魔してんだろーがッ!!」


たまらず叫んだわたしの口を、義仲が片手でふさぐ。わたしを黙らせてから、彼は春蘭さんの方を見、ニッコリとほほ笑む。


「…俺のために日本に来たって?」


念を押すように、繰り返した。その声が冷たい…。

春蘭さんは、深く頷いて、ハイ、と答える。


「あなたに会うためデス」


迷いなく、はっきりと答えた彼女に、

義仲は言った。


「俺は頼んでないけど」


春蘭さんは眉をひそめた。


「だって、わたしたちはエンゲージしたと父が言いまシタ…結婚するのに、顔も知らナイなんて、おかしいでしょう?だから遥々…」


義仲に噛み付くような勢いでまくし立てる春蘭さん。
必死な様子が見てとれた。

けれど……。


「そんなの知るか」


ばっさりと切り捨てる義仲に、春蘭さんは目を大きく見開いて黙り込んだ。


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