《MUMEI》

.

義仲はため息をついて、続ける。


「お前が自分の意志で、勝手にこっちに来たんだろ?俺に押しつけんな」


そう言い切って、彼はわたしに、行こ…と声をかけ、春蘭さんの脇をすり抜けると、さっさと教室を出て行く。

わたしも慌ててかばんを抱えて、義仲の背中を追いかけた。



−−−教室を出るまえに、



一度だけ、春蘭さんを振り返る。



彼女は真っ青な顔をして、

ワナワナと身体を震わせていた。



込み上げる怒りを、

抑え込んでいるかのように……。



胸中に、漠然とした不安を覚えたが、

わたしは彼女から目を逸らすと、

教室を出て行った。





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