《MUMEI》 . 義仲はため息をついて、続ける。 「お前が自分の意志で、勝手にこっちに来たんだろ?俺に押しつけんな」 そう言い切って、彼はわたしに、行こ…と声をかけ、春蘭さんの脇をすり抜けると、さっさと教室を出て行く。 わたしも慌ててかばんを抱えて、義仲の背中を追いかけた。 −−−教室を出るまえに、 一度だけ、春蘭さんを振り返る。 彼女は真っ青な顔をして、 ワナワナと身体を震わせていた。 込み上げる怒りを、 抑え込んでいるかのように……。 胸中に、漠然とした不安を覚えたが、 わたしは彼女から目を逸らすと、 教室を出て行った。 ****** 前へ |次へ |
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