《MUMEI》 . わたしが黙り込むと、義仲は、さっきも言ったけど、と口を開いた。 「俺は婚約とか、そんなバカげた話は知らないし、親父と俺はべつの人間なんだから、あんなオンナ、関係ない」 迷いのない言い方だった。わたしはただ、彼を見つめ返す。 義仲はニッコリして、ゆうこママが待ってる、と一言呟くと、校門へ向かって歩き始めた。 わたしは、まだ、納得いかなかったが、 彼のあとを追った。 −−−校門に、 ふたつの人影を見つけ、義仲は、あれ?と声をあげた。 その間の抜けた声に、わたしが顔をあげると、 義仲が、それと同時に言う。 「千影じゃん」 わたしも、え?と間の抜けた声をあげ、校門の方へ視線を流すと、 そこには、長身の千影と、 そして、 男がひとり………。 男は、爽やかな笑顔を浮かべて、 なぜか、千影と仲良さそうに話し込んでいる。 . 前へ |次へ |
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