《MUMEI》 . 将門は千影に、中学以来だっけ?と屈託なく笑った。それから、わたしを見つめる。 「それにしても、まさか、君が千影ちゃんと同じ高校で、しかも友達だったなんて」 すっごい偶然だね、とにこやかに言う。 わたしはなんて答えていいのかわからず、ただ曖昧にほほ笑んだ。 千影は将門の方を見て、わたしを指さした。 「この子、片倉 璃子っていうの。見た目と違って、中身は悪魔だから気をつけて」 余計な一言を付け加えて、紹介した。 将門は、片倉 璃子さん…と小さく繰り返して、淡くほほ笑む。 「改めて、よろしくね」 わたしは、その微笑に見とれながら、よろしく…と呟いた、 −−−そのとき。 「璃子」 固い声で、名前を呼ばれた。 わたしが振り返ると、 いつの間にか、すぐ傍に義仲が立っていた。 彼は険しい目つきで将門を睨みやり、言う。 「…誰、こいつ」 なぜか不機嫌そうな義仲に困惑しながら、わたしは答えた。 「昨日の帰りに、告られたの」 さっぱりと答えると、義仲はふぅん、と唸った。 . 前へ |次へ |
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