《MUMEI》
不機嫌な理由
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将門は義仲の顔を見て、ハッと表情を引き締める。


「もしかして、片倉さんの…?」


そう呟いた将門に、

義仲は美しくほほ笑んだ。


「…璃子に、なんか用?」


優しい表情とは裏腹に、その声は凍てついていた。明らかにキレている。

義仲の出現に、将門は気まずそうな顔をして、えぇっと…と口ごもってしまう。

見兼ねたわたしと千影は、慌てた口調で答えた。


「昨日、うっかり璃子の名前を聞き忘れちゃったんだって!!」


「そうそう!!突然だったし!!で、今、改めて千影に紹介されて!」


「そうなの!このひと、わたしの知り合いでねー!!」


「こんな偶然、ホントにあるんだねー!!」


アハハ☆と虚しい笑い声を、ふたりであげる。

そんなわたしたちを、義仲はあっさり無視して、将門を見る。

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