《MUMEI》
道端で
.




−−−義仲に手を引かれながら、街を歩いた。





それはいわゆる、カップルのように肩を寄せ合って仲睦まじく…というものではなく、

ただ、義仲が、わたしの手を強引に引っ張っているだけのものであったけれど…。


わたしは、義仲の広い背中に向けて、ねぇ…と呼びかけたが、返事は無かった。しかも、振り返ることすらしない。

イラついたわたしは、もう一度、今度は鋭い声で、ねぇってば!!と呼んでみた。


すると、


ピタリと、義仲の足が止まる。わたしも立ち止まった。

彼は、ゆっくりわたしを振り返って、

冷たく笑う。

途端に、わたしの背筋が凍った。


義仲は氷の微笑を浮かべたまま、青ざめているわたしに言った。





「…一体、どういうことか、説明してもらおうか」





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