《MUMEI》 . 恐怖に堪えられずにわたしは、昨日の将門とのことを、包み隠さず、すべてを打ち明けた。 ひとりで歩いているとき、声をかけられたこと。 帰り道に見かけて、わたしに惚れたこと。 将門が、わたしに彼氏がいても、自分の気持ちを抑えられないと言ったこと。 返事をゆっくり考えてほしいと、連絡先のメモを渡されたこと…。 「……以上です」 尻すぼみになりながら答えると、義仲は腕を組んだ。 「で?連絡したの?」 「いいえ」 「そのメモ紙は?」 「持ってます」 「じゃ、貸して」 そう言って、義仲はわたしに手を差し延べる。 わたしは恐る恐る彼を見上げ、なんで?と尋ねると、 彼は、当たり前だろ、と眉をしかめた。 「そんなヤツに、連絡する必要ねーじゃん」 ごもっともですが……。 . 前へ |次へ |
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