《MUMEI》
『金のなる木』とその末路
.

わたしはしぶしぶ、かばんの中からメモ紙を取り出した。



−−−これは、『金のなる木』。



大事に大事に育てれば、いつか巨満の富と、揺るぎない名誉が、わたしに与えられるもの。


そう思うと、


どうしても義仲に渡せなかった。


義仲はイラついたのか、わたしが持っていたメモを奪うと、

目の前でビリビリにしてしまった。


「あぁーッ!!」


…………金のなる木が!!


悲痛な叫び声に、彼はジロリと睨みつけてきた。


「文句ある?」



…………いいえ!滅相もない!!



凄みのある声に、わたしはすっかりビビっていた。


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