《MUMEI》

.

ビリビリにした紙を、その辺にポイと捨てると、彼はため息をついた。


「あんな変なヤツに声かけられるなんて、お前もゆるい女だな…」


…………はぁ?


わたしは顔をしかめて、なによそれ!と反論すると、義仲は面倒臭そうに、だから〜、と答えた。


「スキありすぎってこと」


…………言っときますけど!!


わたしにスキがあるんじゃなくて、

あんたがこんな美少女をほったらかしにしたから、

まんまと、告られたりしたんじゃん!!


わたしのせいにすんなよッ!!


…………なんて、

言えないけどさ…。



仏頂面で黙り込んでいるわたしをよそに、義仲はひとり、スッキリしたような顔をして、気持ちよさそうに伸びをする。

それから、満面の笑顔を浮かべて、


「ママの店、行くか!」


と、呑気に言ったのだった。





******

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫