《MUMEI》
エース改め神澤の部屋
「俺の、部屋」


そう言われて、俺は改めて部屋の中を見回した


なんつーか


らしい、部屋だな


広さは多分俺の部屋と同じ位


だが、キッチンと寝室に続く扉が無いぶん、広く感じる


つーか、コイツが料理なんかするわけねーよな


一応、キングサイズのベッドの隣に申し訳ない程度に冷蔵庫あるけど


…飲み物専用だな、これは


それにしても、だ


「何で、部屋?」


寮の案内するなら、普通共用スペースからじゃねーか?


首を傾げる俺を見て、神澤は笑った


「ジョーカー、キング、嫌いでしょ?」

「あぁ、まぁ…けど、あいつ俺がジョーカーだと気付いてねーだろ

それに

俺、もうジョーカーやめたし」


元々、ジョーカーは中学卒業したらやめるつもりだった


四つのチームに入っているのはほとんどが高校生で


高校生になったら、チームに入ると言っていた同級生が何人かいたから


しかも、ヤツラが入りたいと言ってたのは、俺が一番仲良かったスペードだし


正体がバレる前に


謎の存在のままで、ジョーカーを引退したかった


…ま、神澤にはバレたけど、女とはバレてないし

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