《MUMEI》
《スナック ゆうこ》での再会
.


−−−夕方の繁華街は、ひっそりと静まり返っている。

歩いているひとも少なく、建ち並ぶ店も、シャッターが閉まっていたりする。


そんな中、


昭和の匂いを残す、とある重厚なドアのまえまで、わたしと義仲はやって来た。


ドアの傍には、


まだライトがついていない、看板がひとつ。


そこには、《スナック ゆうこ》と書かれていた。



…………久しぶりだなァ。



懐かしんでいると、義仲は躊躇いなくドアを開いた。


「お邪魔しま〜す」


呑気な声で、挨拶すると、

店のカウンターのスツールに腰掛けていたひとが、クルッと振り向いた。

プラチナブロンドの長い髪。肌は焼いたのか浅黒く、唇にはテッカテカのピンクベージュのグロスがたっぷり塗られ、目元は鮮やかなセルリアンブルーのアイシャドーが盛られている……、


「あらぁ!!久しぶりィッ!?」


オカマもとい、『ゆうこママ』が、野太い声で言った。



…………相変わらず、キモいなァ。



つい、感心してしまう。


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