《MUMEI》

.

わたしはママの顔を正面から見据えて、真面目な顔をする。


「その節は、どうもお世話になりました!」


一番にお礼を述べると、ママは機嫌を良くしたようだった。照れたように笑い、いやだわぁ!!と笑った。


「あれくらい、どうってことないわよぅ!」


そうして、その後の足の調子はどうか、と尋ねてきたので、わたしはすっかり良くなった旨を伝えると、ママは安心したような顔をした。


「よかったわ!!結構、腫れてたから、心配してたのよ〜」


そう言ってママは、テーブルに瓶とグラスを置き、ジュースをグラスの中へ、なみなみと注ぎ込みながら、それにしても…と呟いた。


「あのときは、さすがのアタシもビックリしたわぁ!状況が状況だったけど、『あのヨッシーが、女の子連れてきた!!』ってね…」


ママは話しながら、ジュースで満たされたグラスを、わたしと義仲の手前に置いてくれた。


義仲は喉が渇いていたのか、断りもなくそのグラスを手に取り、勢いよく飲み始めた。

.

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫