《MUMEI》 . その飲みっぷりを眺めながら、ママは、うふふ…と軽やかに笑い、わたしに目配せをする。 「…ホラ、ヨッシーって、いつもニコニコしてるけど、ホントはすんごいドライでしょう?」 わたしはなんと答えていいかわからず、曖昧に、はぁ…と頷いた。ママは、義仲を軽く睨んで続ける。 「普段なら女の子がケガしたって、ほったらかしにするクセに、あのときは血相変えて、ここにやって来て……なにごとかと思ったわぁ」 …………そういえば。 あのとき、わたしは不良たちに襲われて、足をケガして、服も破られちゃって、 助けに来てくれた義仲が、わたしをおんぶして、このお店まで連れて来てくれたのだっけ……。 たぶん、あの日から、 わたしの、義仲に対する目が、変わったんだ−−−。 楽しそうに話すゆうこママをよそに、義仲はつまらなそうな顔をして、もういいよ、と話を遮った。 「そんな話、どーでもいいだろ?」 ぶっきらぼうに言った彼に、ゆうこママはニヤニヤする。 「あらぁ?ヨッシーってば、照れちゃってェ!」 茶化すママに呆れたのか、義仲は肩をすくめて、ソファーの背もたれに体重をかけた。そして、再びジュースを飲み始める。 ママは、そんな義仲を見て、クスクスと笑った。 わたしは、やっぱり戸惑っていて、 ママと義仲を交互に見遣っていた。 . 前へ |次へ |
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