《MUMEI》

なつ姉が、俺の胸の中で、言った

菜月 「…悠希に、頼っていい?」

悠希 「うん」

菜月 「…私…本気の恋愛なんか」
「して来なかったのかも…」

悠希 「…」

菜月 「誰と、居ても、フラれるのなんか、怖くなかった…」

「散々、我が儘言って…」

「嫌になったら、別れて…」
「…マリナさんにも、言われたわ…」

「別れ方が、悪いって…」

「…だから、悠希に、こんな嫌な思い…させちゃうんだ…」

悠希 「…俺、恋愛経験、無いからォ…」

「わからないけどさォ」

「…好きだった人を、嫌いになれるのかな?…」

菜月 「…そんなに、好きじゃ無かったんだよ…私は……」

悠希 「違うよ……彼氏の方だょ…」

菜月 「…」

悠希 「なつ姉ォ美人じゃんォ」
「やっぱォ忘れられないんじゃないかなぁォ」

菜月 「…」

悠希 「俺も…捨てられたら…未練、タラタラかもしんない…」

「なつ姉以上の女なんて、そう、居ないよ…」

菜月 「外見でしょ?…」

悠希 「うん、けど、俺は、中身も良く知ってるから、尚更だね…」

菜月 「さっき、私を、わざと、怒らせたって、…言ったじゃない?」

「何で?…」

「何が狙いなんだろうって…」

悠希 「なつ姉を、感情的にすれば」
「俺の名前や、いつからの関係か、糸口を口走るだろうし…」

「グラスのお酒なんか、掛けちゃえば…」

「やり過ぎたって、心の中では、反省するだろうし…」

「…例えばさ…」

「人前で、こんだけ、恥かかせたんだ…最後に、もう一回、抱かせろよ…とか、言われたら?」

菜月 「…頭に血が上ってたら、…けど…今は…無いな、それ…」

「昔の、私だったら、寝てたかもね…」

悠希 「…」

菜月 「悠希も、わかって無いんだよ」
「会社より、家族より…」

「私は、悠希が1番大切なの…」

「だから、今の私は、そんな事、しないよ…」

悠希 「そっかォ」

菜月 「確かに、アイツが考えそうな事ね…」

「上手いよ、実際…」

「変な、駆け引き…」

悠希 「やり手の営業でしょ?…」

菜月 「うん…口先は、上手いよ…」

悠希 「舌も?」

菜月 「……」

悠希 「ォ…」

なつ姉が、身体を、起こして、俺を、真っ直ぐ見た……

菜月 「悠希、起きて!」

悠希 「はいォ」

菜月 「…」

なつ姉が、正座するから、思わず、俺も、正座しちゃったんだ…


菜月 「…黙って、聞いてね…」

悠希 「…うん…」

菜月 「中年だけあって、女の扱いは、見事よ…」

「遊び人だからかもしれないけど…」

「なかなか、逝かない私を、逝かせたわよ…」

「舌でね…」

悠希 「…」

菜月 「上手だと、思うわ……」

「テクニックだけなら、知る中で、断トツに、上手いと思うわね…」

悠希 「……」

菜月 「けど、…悠希とのセックスの方が、はるかに気持ち良いの…」

「なぜだか、今日わかった…」

「悠希、私の身体だけじゃないもん…」

「心も、抱いてくれてる」

「私、悠希に全て、さらけ出してる…」

「きっと…私が、本気だから…」

「こんなに、感じちゃうんだと、思う」

「…安心して…全てを、悠希に預けられるの…」

「だから…だと…思う」

………

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫