《MUMEI》 . わたしが、さらに突っ込もうとしたとき、 カウンターの奥から喧しい笑い声が響いた。 「わかりましたぁ〜!!お待ちしてますねェ!!」 わざわざどーもぉ!とまくし立て、ガチャンと電話を切ったのは、 ゆうこママ。 ママは、電話を終えると、あのひと話長いのよねェ…とぼやき、ため息をついた。 のそりのそりとわたしたちのところへやって来たママに、義仲は笑顔を見せる。 「お客さんから電話?」 義仲の質問に、ママは頷いた。 「そーなのよぅ!!今日来てくださるそうでねぇ、予約のお電話!」 ママの返事に義仲は、そっか…と呟き、自分のかばんを持ち上げた。 「それじゃ、俺たち帰るよ」 開店の準備しなきゃでしょ?と付け足すと、ママはすまなそうな顔をした。 「ごめんなさいね、わざわざ来てくれたのにィ…」 「また来るよ」 「ホントにゴメンね〜」 簡単な会話を交わして、わたしたちはゆうこママに、さよならを言い、お店から出た。 . 前へ |次へ |
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