《MUMEI》 アゲ嬢と常連. …………どうして。 ふと、思う。 どうして、義仲は、なにも話してくれないのかな? 家のこともそうだけど、 自分の気持ちに対してだって、 口に出そうとしない………。 全部、自分ひとりで完結させちゃって、 他のひとが、入り込む隙を与えないのは、 一体、なにに怯えているの? 義仲は急にわたしを振り返り、メシ食って帰ろーぜ!と誘ってきた。 わたしはその提案に頷き、かばんの中から携帯を取り出して、ちょっと待って、と彼に声をかけた。 「夕飯いらないって、家に電話するから」 義仲は、はいよ、と軽快に返事をして、気をきかせたのか、わたしから少し離れてくれた。 わたしは彼に背中を向けて、家に電話をかける。 この時間なら、家にはお母さんがいるはずだ。 なのになぜか、一向に繋がらない。 ………買い物にでも、出かけちゃったかな? 呼出し音が鼓膜に響き渡る中、なんとなく、義仲の方へ視線を向けて、 たまげた。 「義仲くぅ〜んッ!!」 「やだぁ!!ホンモノ〜!?」 「久しぶりじゃぁん!!」 濃すぎるバッチリメイクに、高く盛ったまとめ髪、それから、きらびやかな高級ブランドのナイトドレスを纏った、いかにも『これからご出勤』というスタイルの女の子3人組が、義仲を取り巻いていた。 . 前へ |次へ |
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