《MUMEI》

.

女の子たちは、馴れ馴れしい様子で義仲に話しかけている。


「マジ久しぶり〜!!」


「元気だったぁ!?」


「もう!寂しかったんだゾ☆」


さりげにボディタッチまでする始末。

当の義仲は、美しいほほ笑みを浮かべて、久しぶり、と答えた。


「最近、忙しくてさ〜。なかなかこっちに来れなくて」


これから仕事?などと、慣れた感じで会話をしている。

完全に取り残されたわたしは、ただ呆然とした。



…………一体、なに?



っつーか、


どーみても、この子たち、


流行りのアゲ嬢だよね………。


しかも、義仲も『久しぶり』って、


『最近、来れなくて』って、


高校生のくせに、常連かよ!?



携帯片手にポカンとしているわたしの視線に気づいたのか、彼女たちはわたしに不躾な視線を返した。

そうして、義仲に尋ねる。


「ねぇ、あの子、義仲くんの知り合い?」


なんかこっち見てる〜!と嫌そうな顔をした。バカにした言い方に、わたしもムカッとする。


「まさか、カノジョじゃないよね!?」


ひとりのアゲ嬢が言った台詞に、



…………その『まさか』だよ!!



と、心の中で叫んだ。


.

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫