《MUMEI》

.


そんなことを考えてから、

ふと、不思議に思った。


わたしは将門の顔を見上げ、瞬く。


「将門…くんは、なんでここに?」


最後に会ったのは校門だった。

あれからずいぶん時間が経っているのに、まだ制服姿でいるということは、どこかに寄り道していたのか…。


それとも、


わたしと義仲のあとを、つけてきたとか……?



尋ねたわたしに、将門は振り向き、ニコッとほほ笑む。


「すぐそこで買い物してたんだ。欲しいCD、あって」


ホラッ!と、手にしていたCDショップの袋を掲げてみせた。

わたしが、ふぅん…と唸る。あまり音楽には興味がないので、なんのCDを買ったのかすら、尋ねなかった。


将門はしばらくニコニコしていたが、やがてなにかに気づいたように、あれ?と声をあげてキョロキョロ周りを見回した。

わたしが、どうかしたの?と尋ねると、将門は困惑したように、いや…と呟いた。


「彼氏、どこ行ったのかなって…一緒だったんでしょ?」


尋ねられ、わたしは、ああ…と冷めた反応をした。

ため息まじりに、知らない、と素っ気なく返事をする。


.

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫