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《MUMEI》 . −−−そのとき 突然、将門が駆け寄り、わたしの腕を取った。 わたしがビックリして顔をあげると、 将門は、爽やかな笑顔を浮かべた。 「送るよ！もう、遅いし」 また絡まれたら、大変でしょ？と、屈託なく言う。 わたしは、でも…と断ろうとすると、彼は有無を言わせず、送る、と言い切り、わたしの腕を引っ張って歩き出した。 「電車乗って帰るの？」 「う、うん…」 「じゃ、駅だね」 彼は笑顔のまま、ひとり決めした。 将門の強引さに戸惑いながら、わたしはただ、彼のあとを歩いた。 ＊＊＊＊＊＊ 「義仲くん？」 「どうしたの？急に立ち止まって〜」 「知り合いでもいた〜？？」 「………いや、ちょっとね」 「『ちょっと』って顔じゃないよ〜？」 「…なんでもないって」 −−−わたしは、気づかなかった。 わたしと将門が並んで歩いている、 その、すぐ近くで、 義仲が、女の子たちと一緒に、 居合わせていたことを…………。 ＊＊＊＊＊＊ 前へ |次へ |
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