《MUMEI》 そんな俺は、何故か北条カンパニーの社長にチャンコ鍋屋さんの個室に呼ばれていた。 「木下君もかい?」 「……なんで美作も?」 いまだに美作は俺を木下君と呼び、俺は美作と呼んでいる。 「……内館遅れるから代わりに行けと。」 内館らしい。 「はじめまして。北条修平です。」 北条修平さんは滑舌が良く、好感の持てる声色だ。 世界を相手取るやり手社長は清潔感のあるスーツ姿に北欧系の目鼻立ちで社交的な笑顔を振り撒いた。 鼻筋や笑った時の口角の上がり方は七生にそっくりだ……七生の豪快な笑い方は内館そのものだが。 「お久しぶりです。」 「あれ、美作さん。」 どうやら二人、顔見知りらしい。 「始めみゃして木下です。」 緊張して噛んだ……。 前へ |次へ |
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