《MUMEI》
惚れ直した
.


将門は、心配だから、とわたしの家のまえまで送ってくれた。

玄関のまえで、彼はにこやかにほほ笑む。


「それじゃ、またね」


そう呟く彼の顔を見つめ、わたしはゆるりと瞬き、

あのさ…と口を開いた。

将門は、なに?と無邪気に首を傾げる。

わたしは意を決して、もう一度言っとくけど、と言った。



「義仲がどんなにバカでも、わたし、アイツとは別れないよ?」



将門は、わたしに交際を申し込んでいる。

しかも、義仲と上手くいってないことも知っている。

彼にとって、こんなチャンスはないだろう。きっと、わたしと義仲の隙に付け込もうとするはずだ。


−−−だから、その前に、


はっきり自分の気持ちを伝えておこうと思ったのだ。



わたしの言葉に、将門は黙り込んだ。


彼は、真剣な顔つきで、わたしを見つめ返す。


しばらく沈黙が流れたあと、





彼は、フワリと笑った…………。





「わかってる!」





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