《MUMEI》 . …………え? キョトンとしているわたしに、将門は続けた。 「片倉さんの気持ちはわかってるよ。大事に思ってるんだよね」 屈託なく言ったあと、彼は表情を険しくして、でも…と呟く。 「彼氏の態度は理解できない」 固い声だった。わたしは目を見開く。将門の強い眼差しに、思わず言葉をなくした。 「どんな理由があったとしても、片倉さんを放っておくなんて、ゆるせない。話聞いて、余計にそう思った」 わたしは、それは…と弁明しようとしたが、言葉が続かなかった。尻すぼみになり、黙り込む。 ……対して、 将門は、急に笑顔になった。澄み切った空を思わせるような、爽やかなほほ笑みだった。 「片倉さんの一途なところ、惚れ直したし!諦めないから、俺!!」 それじゃ!と、はにかんだように言って背を向けた彼に、わたしは返す言葉が見つけられなかった。 ****** 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |