《MUMEI》

「何が違うんすか?」


「赤高の流れを崩してるのは途中加入のあの子じゃないわ。


確かにそう見えなくもない。


でも、


赤高の得意スタイルはあくまでも速攻。


それができないから赤高は苦手なセットプレーで攻めてる。


海南に通用するプレーを試行錯誤しながらね。」


「はぁ?」


「つまり、


速攻、


もしくはランパスの展開から攻めることができれば、


赤高にも勝機がある。」


「…」


「赤高がその展開に持ち込めていないのは、


あの途中加入の子のせいじゃない。


…キーパーが原因。」


「キーパー?」





















試合を観戦していた星野の言う通り、


この展開はキーパー村木が原因であった。


もちろん全てが村木の責任というわけでわないが、


赤高の攻撃スタイルの基本は、


『守って速攻』


である。


これは、


『村木がシュートを止める』


という前提があってこそのスタイルである。


もちろんシュートに行かせる前の段階でしっかりと守らなければならないが、


ディフェンスはそこまで完璧にできる物ではない。


通常60分という試合でのハンドボールの平均スコアは25〜35の間といったところであろう。


60分もありながらここまでの点数が取れないのは、


やはりキーパーの存在が大きいからだ。


しかし、


ここまで村木が止めたシュートは0。


つまり、


海南のシュートを全て許していた。


星野の睨んだ通り、


赤高の流れの悪さの根本は村木にあった。


当然、


クロもそのことには気付いていた。

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