《MUMEI》

「何だよ村木!!
止めろよ!!」


赤高ベンチでは沖が荒れていた。


「ろくなディフェンスもできてないのに偉そうに言うなよ。」


「でも…!!」


「止めてもらって当たり前だと思うなって話。
村木にだって苦手な相手はいる。」


「苦手?」


「うん。」


「誰が苦手なんすか!?」


「千葉…っと未來もだね。」

「何で!?
確かにすげ〜シュートだけどあいつはユキヒロとかヤマトさんのシュートも止めるじゃないすか!?」


「リズム。」


「え?」


「千葉はクイック。


未來はタメ。


村木のリズムを崩してる。


そしてそのリズムに合わせようとしてるから素直なシュートが来た時でさえ止めれてない。


やられたね。


ウチの最大の弱点。


経験の浅さをもろに付いた作戦。


やるな〜千葉。」


「そんな悠長な!!
こうなったら俺が…!!」


「まぁ焦んな。
まだ試合は20分以上あるし…」


「あるし?」


「…村木のセンスは底が知れない。」

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