《MUMEI》
良からぬ妄想
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ニヤニヤしているわたしに、彼らは、そーいえば!と、なにか思い出したように言った。


「ナベちゃんに呼び出されてたね?」


「ケガでもしたの?」


先程の放送を聞いたのだろう。彼らはかいがいしく、わたしを心配してくれる。

わたしは困惑した表情を作り、それが…と答えた。


「よくわからないの。心当たりもないし…」


わたしの表情を見て、彼らは眉をひそめる。


「なにそれ、ナベちゃん、なに考えてんだ?」


「保健室だったよな……つーことは……」


ふたり、しばらく考えるように黙り込んで、それからハッと顔をあげた。


「まさか、ベッドに連れ込むつもりじゃ…」


わたしは、ナイナイと首を横に振る。


ナベちゃんは、見た目と違って常識人だ。

まえに、色仕掛けでナベちゃんの目をごまかそうとしたことがあったが、気色悪いとバッサリ切り捨てられたことがある。


そのナベちゃんが、わたしを連れ込んで、ナニしようとか、そんなことはありえない。絶対。



………つーか、キモいし。

向こうがソノ気なら、全力で殺るし。

例え、相手がナベちゃんでもね。



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