《MUMEI》 . 不思議に思いながらも、わたしは保健室のドアをノックして、思い切り開いた。 「毎度ー、片倉ですけどー!!」 呑気な声で言ったわたしに、ナベちゃんは振り返って、眉間にシワを寄せて、 「遅っせーんだよ!!チンタラしてんじゃねぇ!!」 いきなり怒鳴りつけられた。 …………ちゃんとノックもしたし、名乗ったのに。 相変わらず、ちっせーな。 バレないように、チッと軽く舌打ちしてから、わたしはニッコリほほ笑む。 「ごめんなさぁ〜い!!わたし歩くの遅くってェ」 素直に謝ったわたしに、ナベちゃんはバカにしたように鼻を鳴らすと、 「言い訳は聞かねぇ」 バッサリ一蹴した。 …………こンのオヤジ!! いつかシメるッ!! 心の中で毒を吐きつつも、わたしは笑顔を崩さぬまま、それで?とかわいらしく首を傾げた。 「なにか用ですかぁ?」 話を切り出すと、ナベちゃんは真面目な顔をして、少し乱れたサングラスの位置を直す。 ドスのきいた声で、そのことだが…と、やたら改まった口調で話し始めた。 「お前に、まえから言いたいことがあったんだ」 …………なに? . 前へ |次へ |
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