《MUMEI》
妄想と現実
.

わたしが眉をひそめると、ナベちゃんは立ち上がり、ベッドの方へ向かった。

仕切られているカーテンのまえに立つと、クルリと身体を反転させ、


「ちょっと、こっちに来い」


低い声で命令するのだった。


清潔そうな白いカーテン。

その向こう側には、ベッドが並んでいるはずだ。



−−−瞬時に、



先程の男子たちの話を思い出す。


『まさか、ベッドに連れ込むつもりじゃ…』



………。

…………………。

……………………………マジで!?



サッと全身の血がひいていくのがわかった。

ナベちゃんは、青ざめているわたしを見て、少しイラだったように、早くしろッ!!と怒鳴りつける。


「もう我慢ならねぇんだよッ!!」



…………がッ!!

我慢て!!

そこは、我慢してよ!!アンタ、大人でしょ!!



ナベちゃんの叫び声に、わたしはちぎれそうなくらい、激しく首を振る。


「いやいやいや!!それはマズイってばッ!!」


精一杯拒むと、ナベちゃんは深々と頷いた。


「そうだ、マズイことだ…けど、勘弁ならねぇ!」


言い切ると、

わたしの腕を掴んで力任せに引っ張った。



…………ウソッ!!

つーか、なんでナベちゃんが、こんなこと!!



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