《MUMEI》

.

ナベちゃんは、カーテンを勢いよく開き、

現れたパイプベッドの脇に、わたしを押しやる。



…………ギャーーー!!


誰か、誰かッ!!



ナベちゃんは怖い顔つきのまま、パニックに陥ったわたしの胸倉を、むんずと掴み、グイッと顔を近づけた。


わたしは恐怖から、目をきつく閉じる。


そんな怯えきったわたしに、ナベちゃんは目が覚めるような大声で、怒鳴った。



「このバカ、早く連れていけッ!!」



………。

………………。

………………………ん?



『このバカ』?

『連れていけ』?



キョトンとして、パチッと目をあけて、周りを見回すと、


その、ベッドに…………。



「………うるせー」



低い声で唸り、モゾモゾするモノがいた。



…………ちょっと待って。

このパターンって、まさか。





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