《MUMEI》

.

ナベちゃんは額に青筋を立て、12時だッ!と怒鳴りつける。


「テメェがここで眠りこけてから、もう3時間も経ってんだッ!!いい加減にしねぇと、ヒドイ目に遭うぜ!?」


わかったか、バカがッ!!と捨て台詞を吐く。



わたしは壁にかかっている時計を見た。12時を10分ほどまわったところだった。


ナベちゃんの話から察するに、


義仲は朝の9時くらいに、ここにやって来て、眠りはじめたことになる。

1限が始まるのは、8時50分。

すぐに教室に来ればちょっとした遅刻で済んだものを、わざわざ保健室のベッドで過ごしていたというワケだ。



…………ホントに考えなしだなぁ。


つーか、単位とか、どーなってんのさ。



ナベちゃんの大声に、義仲は耳を手でふさぎ、顔をしかめて、うるせーなぁ…と不機嫌そうに唸った。


「そんなデカい声で言わなくっても、ちゃんと聞こえてるよ」


後藤のじいさんじゃあるまいし、とぼやいた。


.

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫