《MUMEI》

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ナベちゃんは義仲にとやかく言うのをあきらめたのか、グルンッとわたしの方へ顔を向け、どうにかしろ!と叫んだ。


「こんな珍獣、ほったらかすなッ!!監督不行き届きもいいとこだ!!」



…………あぁ、なるほど。

また、『監督』ね。

そーいうことね。



わたしは深々とため息をついて、お言葉ですけどぉ〜と、反論する。


「わたし、義仲のオカンじゃないんですけど」


わたしは、(たぶん)付き合ってるだけであって、べつに、義仲の身の回りの管理を任されているわけじゃない。


そーいうのは、川崎先生の担当だろう。


のうのうと答えたわたしに、義仲が目を向けた。

そして、あれ?と間の抜けた声をあげる。


「なんで璃子がいるの?」



…………『なんで』って。

この期に及んで、このガキャァ……。



わたしは半眼で義仲を睨む。


「アンタのせいでしょーが」


ぼやいたわたしに、義仲はビックリしたような顔をする。


「え?俺?」


「当たり前。他に、理由ある?」


尋ねると、彼は腕組みして、う〜ん…と考え込み、それからニコッと笑った。


「さぁ?思い当たらないけどな」


さっぱりと言い切ったあと、義仲は大きく伸びをして、ベッドから降りた。


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