《MUMEI》

どのくらい、時間が立ったのかな…

布団の上で、嘔吐した

胃液しか、出て来ないや……

菜月 「翔ォ」

タクシーで、病院へ…

なつ姉…仕事、休んでた………

軽い、胃潰瘍だって…

……

点滴して、薬もらって
帰宅…

……

菜月 「もっと、柔らかい、お粥作るから」

「私のふとんで休んでて」

翔 「…」

俺、胃液吐いた、自分のふとんに入ったんだ…

……

菜月 「翔、少しは食べなきゃ…」

翔 「…」

菜月 「いつまで、無視するの?」

翔 「…食べない…」

菜月 「薬、飲めないじゃないォ」

俺、力いっぱい、薬の袋を握り締め、
ぐちゃぐちゃにして
投げたんだ…

翔 「…何が薬だ…」
「俺が、どんなに嫌か、わかるか?!」

「薬飲んで、どうすんだよ……」

菜月 「……」

翔 「うっ…ぷっ…」

イライラすると、胃が暴れる…

菜月 「風邪もあるんだから、水分だけでも…」

翔 「…なつ姉…何して来たんだよ…」

「よく、平気で、いられるね…」

菜月 「…」

翔 「…なつ姉が…わからないよ…」

菜月 「…言い訳はしないわ…」

翔 「…まだ、早川が好きだったんだね…」

菜月 「…違うわ…」

翔 「なら、余計、わからないよ…」

「誰にでも、見せるのか?」
菜月 「…」

翔 「仕事、行けよ…」
「俺に、構うな…」

菜月 「…」

お粥を、枕元に置いて、部屋を出ていった、なつ姉…
何度か、俺を見に来てたけど……

寝たふりしてた…

話す事も……無いから…


………

話し声が聞こえた…

…いつの間にか、寝てたんだ…俺…

…なつ姉の、声…

菜月 『いえ…私のほうこそ…申し訳ございませんでした…』

『はい……』

『そうですか…』

『いえ……』

『勝手な言い分ですが…』『他人、ですから…』

『はい…』

『……わかりました』

『はい……失礼します…』

翔 「…」

電話?…

夜9時過ぎ…

トイレに行きたくて、目が覚めたんだな…俺…

なつ姉を、無視して、トイレに行った…

…トイレ…凄い、久々だなぁ…

手を、洗ってると

菜月 「おしっこ、出た?」

何を聞いてるのかと思った?

菜月 「トイレ、行くようになったら、安心だって、先生、言ってたよ」

翔 「?」

菜月 「また、水分、取って」

また?

俺、何か、飲んだっけ?

ゼリータイプの栄養補給、パックを、
なつ姉が、冷蔵庫から、持って来た…

菜月 「自分で飲める?」

翔 「…?…」
「俺…そんなの、飲んだっけ?…」

菜月 「3本、飲んだわよ」

「薬も飲んだわ」

「はい、体温計…」

「昼間は7度ちょっと、あったわよ…」

翔 「……」

熱は、下がってた…

菜月 「風邪は、大丈夫みたいね」

翔 「…電話、誰?」

菜月 「…早川さんの、元、奥さん…」

翔 「何で?!」

菜月 「…お粥、食べたら、話してあげる…」

翔 「…」

菜月 「翔が、食べて無いなんて…知らなかった…」

「無視、してるから…」

「私も、無視してようって……」

「翔が、食べるまで、私も食べない」

翔 「…」

………

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