《MUMEI》
腹いせに
.


イラつきを抑えながら、わたしは教室へ向かった。



…………ったく!!


なんなのよ、義仲のヤツ!!


一体、なににスネてんのよッ!?


しかも、いきなり別れバナシしてさー!!


ムカつくなぁ、マジで!!



ガラリと大きな音を立てて教室に入ると、待ち構えていたように、千影が声をかけてきた。


「おかえり。遅かったじゃん」


5限、終わっちゃったよ、と付け足す。

わたしは千影を思い切り無視して、自分の席にドカリと座る。

千影は呆れたように、感じ悪〜…とぼやいた。


「なに?ナベちゃん、怒ってたの?」


尋ねてきた千影を見上げ、わたしは可愛いげなく、フンと鼻を鳴らした。


「違うよ。義仲の引き取り」


わたしの返事に千影は目を丸くして、え?と声をあげると、教室中をキョロキョロしだした。

一通り眺めたあと、彼女は呟く。


「義仲、いないじゃん」


わたしは、素っ気なく、帰ったよ、と告げる。


「夜中まで、アゲ嬢と遊んでたから、寝不足なんでしょ?」


適当なことを口にすると、また千影は驚いた。


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