《MUMEI》

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「なにそれ、アゲ嬢ってなんのこと?」


わたしはイラっとして、ため息まじりに、知らな〜い!と突っぱねた。


「そんなの、本人に聞けばぁ?」


「本人っつったって、帰ったんでしょ?」


「すぐ追いかければ間に合うよ。ついさっき、帰ったし」


冷たくあしらうと、千影は半眼になって、そこまで知りたいワケじゃない、と呟いた。

そんな彼女に、あらそう?と意外そうな声で言ってやった。


「すきでしょ、そーいう話」


「…どんだけ耳年増なんだよ、わたし」


そんな適当な会話をしている矢先、

昌平がこちらに近づいてきた。

すこぶる機嫌の悪いわたしは、彼を半眼で睨むと、なによ?と文句をつける。


「半径1メートル以内に侵入したら、叩き潰すわよ、このクズッ!!」


そう言ってやると、昌平は嬉しそうな顔をして、


「いいねぇ!!ゴキブリに出くわしたときのような、その嫌そうな顔!!」


不気味なくらい、ニヤニヤした。



…………このドMがッ!!



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