《MUMEI》
哀願
寛喜がインサートの体勢を取ったので、優里は驚き慌てた。
「待ってください!」
「かわゆい」
「本番はなしって言われなかった?」
「そういうセリフ吐くとピストン運動しちゃうよ」
「わかった、やめて」
怯える優里を見下ろす狼は、意地悪く迫った。
「優里。埋め合わせしてくれるなら、生で中に出すのは許してあげるよ」
よくそういう恐ろしいことが言える。優里は軽蔑の気持ちを抑えて聞いた。
「どんなことなら埋め合わせになりますか?」
「SMホテルで朝まで一緒」
優里はあり得ない話に一瞬怯んだが、自分は今ヤクザに監禁されている身だ。寛喜どころではないのだ。
「いいわよ」
「あとは二人きりで温泉旅行」
「構わないよ」
すました顔で答える優里に、寛喜は笑いながら言った。
「どうせ、この場しのぎの嘘だろ?」
「違うよ。許してくれたら約束は守ります」
「あっ、そうだ」
寛喜はベッドから降りると、入れ物を持ってまた優里の上に乗った。
「まさか優里がここにいるとは思わないから、びっくりして忘れていたけど、きょうは媚薬ローションを持ってきたんだ」
「ローション?」優里は首をかしげて入れ物を見た。
「そう。魔法のローション。これを体に塗られると体にもハートにも火がつくんだ」
優里は不安な顔色で唇を結んだ。
「感度が5倍になるらしいよ。試してみる?」
いきなりローションの蓋を開けたので、優里は慌てふためいた。
「待って、寛喜君、待って」
「優里チャンは理性が高いから大丈夫だよ」
そう言うと、あっさり腕にローションを塗り、おなかにも炸裂。
「やめて!」
さらに脚に塗り、胸にも両手で塗りまくる。
「嘘……やめて」
優里は顔を赤くして目を閉じた。首をしきりに左右に振り、快感に耐えている。
「あれ、さすがの優里チャンも魔法のローションには降参か?」
(こいつ最低!)
しかし罵倒なんかしたら、もっと意地悪されてしまう。弱気な女を演じるしかなかった。
「寛喜君、ほどいて。シャワーを浴びさせて」
「甘いよ」
おなかと胸を同時に攻める。優里はたまらず腰をくねらせた。
「お願い、やめて。あたしにもプライドがあるわ。許してよ」
「知ってるよ、プライドが高いことは」
「お願い、やめて。お願いします」
「かわゆい!」
一旦やめてくれた。
「優里。何でいちばん困るところには塗らなかったと思う?」
「それは、あなたは心の優しい人だから」
「よく言うよこの女」寛喜は嘲笑を浮かべた。「自分が助かるためなら何でも言うんだね?」
優里は気が気でない。ローションが効いて快感が増しているのか、かなりきつい。
こんな恐ろしいローションをいちばん敏感なところに塗られてしまったら。考えただけで怖い。
「優里。今までまじめな子も遊んでる女の子も、あそこにこのローション塗ったらさあ。のたうち回っちゃったんだよね」
優里は胸の鼓動が激しく高鳴る。それだけは許してほしかった。
「優里。女の子って、嫌いな男の手でイカされたら、屈辱なんでしょう?」
「あたし、別にあなたのこと嫌ってなんかいないよ」
「そういうデタラメ言うとローション垂らしちゃうよ」と容器を傾けた。
「わかった、待って!」
寛喜は危ない笑顔で迫る。
「ククク。優里チャンがのたうち回る姿って、見てみたいね」
「やめて」優里は寛喜を見つめながら首を左右に振る。
「優里チャン覚悟!」
「待って待って!」
ローションを垂らされた。そして容赦なく秘部に塗りまくる。
「あっ…」
こうなった以上、理性と誇りを総動員して、乱れないことが唯一の抵抗だ。
優里はすました顔で頑張った。だが寛喜は、いちばん敏感な箇所を攻めまくる。
(負けてたまるか…)
優里は唇を噛んで耐えた。

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