《MUMEI》 その後、夜の工場に起こること新しいやり方を、作業員達は戸惑いながらも受け入れた。 そして、事故の話題が薄れてきたある夜―。 夜勤のやり方が変わり、作業部屋には二人の作業員が常時いることになった。 その夜、機械の動きが悪く、工場内にはベルが鳴り響いた。 一人の作業員が修理班を呼びに部屋を出ていった。 そして数分後、工場内に絶叫が響き渡った。 作業員と修理班が慌てて作業部屋に駆け付けると、そこには腰を抜かした作業員がいた。 何があったのかと皆が尋ねると、作業員は床を指差し、こう言った。 ―首がっ…!― 翌日からその作業員は夜勤を嫌がるようになった。 作業員の話は瞬く間に工場内に広まるも、その後は何も起こらず平穏だった。 やがて、彼の死も作業員の話も消えかかってきた頃、一人の女性が夜勤をしていた。 机で座りながらの作業をしていた彼女は、最近入ってきたばかりで、二つの事件のことは知らなかった。 そのことが良かったのか悪かったのか―。 他にも数人の夜勤組がいた。 しかし休憩や食事をしに出ているので、今は彼女一人だけだった。 一人と言っても、他の部屋には作業員がいる。 だから安心していた。 その夜、ベルが鳴り響いた。 彼女はベルが鳴る意味を知っていた。 だが自分には関係無いことだと思い、作業を進めた。 しかしふと、足元から何か音が聞こえてきた。 何かが転がってくるような音は、自分の足元で止まった。 何か部品でも転がってきたのかと、机の下を覗いた彼女は目を見開いた。 血まみれの男性の生首が、自分を見てにやっと笑った。 ―ボクの身体、どこ?― 再び工場に悲鳴が響いた。 翌日、工場内では注意報のことが話題になっていた。 昨夜のことと、前回の作業員の事件のことから出た結論。 ―あの作業部屋の注意報のベルが鳴ると、彼の生首が出る。身体を求めて― 工場注意報―それは工場内で危険があることを知らせるベルであり、彼の生首が現れる知らせでもある。 あれ? あなたの足元、何か転がってない? 前へ |
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