《MUMEI》
閉店
いかがでした?

当店の『ハッピーキャンドル』の効果は。

あのお客様は残念でした。

説明書をちゃんとお読みになられていれば、必ず幸せになられたはずでしたのに…。

当店にお越しになられる方は、限られています。

日常に飽きた方、刺激に飢えた方のみが当店を見つけられ、入店できるのです。

当店はお客様の願望を叶える商品を扱っております。

お客様が心より望んでおられるのならば、当店は全力を尽くし、いかなる方法を持ってしても叶える所存であります。

今回も残念な結果をむかえました。

あのキャンドルを購入しても開花させる方は、ごく稀なんです。

強き欲望を持った方のみが開花させるのです。

蕾のままではささやかな幸せしか訪れず、開花すると最上級の幸せが訪れます。

これはお客様次第になりますが…。

当店ではなかなか常連さんがつかず、悩んでおります。

今日のところはこれにて閉店することにいたしましょう。

きっと明日にはまた新しいお客様がいらっしゃるでしょうし。





…ああ、そう言えば、あのお客様の最後の望みですがどうやら私にもう一度お会いすることでしたね。

しかし不可能なことは、夢に見ることさえ不可能なので、くれぐれもご注意ください。

当店では、あなたのご来店を心よりお待ちしております。

前へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫