《MUMEI》
サイトの力
「ふぇっ?!」

あまりにまとを得た質問に、思わず声がひっくり返った。

「多少の成績の上げ下げはまあ良い。精神的なものが絡んでいるからな。しかし上がりっぱなしと言うのはいただけない」

そう言って、2つめの弁当に手を付ける。

「特にお前みたいな優柔不断タイプには、あり得ないことだ」

「…はっきり言ってくれるわね?」

「事実をのべたまでさ。ーで? 何をしたんだ?」

「例のサイトを見つけたの」

ミナはあっさり言った。

「中学時代の友達に教えてもらったんだ。ヤッパ本当だった!」

「ほぅ。それでお前は【解放】したのか?」

「したように見えない? あたし変わったよ?」

マカは弁当を半分食べたところで、ペットボトルのお茶を飲んだ。

「今のミナはサイトの力を借りて、自信がついただけに過ぎない。実力で得てないものはいずれ消え去る。その後も今のミナが保てるなら、変わったことを認めよう」

「借りてって…。いずれは消え去るって…」

「あり得ないことではなかろう? 突然得たのだから突然消えてもおかしくない」

濁りの無いマカの眼に見つめられ、ミナは思わずその場から走り去った。


「つーかさ。ミナ、大丈夫なの?」

近くにいたクラスメートが恐る恐る声をかけてきた。

いつもならミナがいる時にしか話しかけてこないのだが、ミナの変化に少なからず戸惑っているようだ。

「ミナ、最近ずっとケータイばっか見てるでしょ?」

「それってさ、例のサイトのヤツなんでしょう?」

「ヤバくない? だってあのサイトってさ…」

マカはクラスメート逹が語る都市伝説を黙って聞いていた。

昼休みが終わるギリギリになって、ミナは戻ってきた。

だがその顔色は真っ青だった。

―そして放課後。

「ミナ、例のサイト教えて」

「え?」

マカはケータイ片手に、ミナに話しかけた。

「私も見てみる。効果を調べてみたい」

「でっでも、マカに【解放】するところなんて…」

「無いことは無いんだ。だから試してみたい」

はっきりと言われ、真っ直ぐに見つめられてはイヤとは言えない。

「…分かった」

ミナは自分のケータイを取り出し、例のサイトを画面に出して、マカに渡した。

「ありがと」

マカは両手で二つのケータイを操作した。

一分も経たないうちに、ミナのケータイを差し出した。

「今日はどうする? 一緒に帰るか?」

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