《MUMEI》
【解放】の意味
【解放】後、病院に入院する者達が絶えないらしい。
クラスメート達はそれを心配していた。

【解放】とはいろいろな仕方があるそうだが、最終的には理性を失い、暴れ出す。

そうなれば、病院へ行くしかない。

しかし入院しても理性は戻らず、まるで動物のようになってしまう。

あるいは最悪、廃人状態にもなりうる。

―う〜ん。そこら辺は相手次第なんだよ。どれだけの【解放】を望むか、だね―

「ウソをつくな。ある程度抑えられるのも、お前の力加減次第だろう?」

―ボクはキミのように力加減が上手くないんだよ―

「ならしばらくはおとなしくしていることだな。力加減を覚えるまで、お前の好き勝手にはさせない」

マカの真剣さに、声の主は深くため息をついた。

―…分かったよ。しばらくは自重する。しばらくは、ね―
 
含み笑いをし、ケータイ電話の画面は元の待ち受け画面に戻った。

「ったく…。イタズラが過ぎるぞ」

グチりながら、マカはケータイをしまった。

そしてぐったりとしているミナの体を抱き上げた。

「…まったく。お前が関わらなければ、私も動くことはなかったのに」

苦笑しながら、ミナの額に口付ける。


「…どーもバカな子には甘いらしい。年は取りたくないものだな」
 
そう言って地面を蹴り、屋上から地面へ飛び降りた。

―【開放】の力を使わずに。

「おっと。人目があるかもしれなかったな。いかんせん、癖は直りにくい。…言葉遣いも気を付けねばな」

ため息をついたマカの眼は、鈍く赤く光っていた。

「ウワサにもなっているみたいだしな。都市伝説とはあなどりにくい。…まっ、それが私だと気付いた者はいないだろうが。…同属以外は、な」





―数日後。

ミナは不思議そうに首を傾げた。

「何で無くなっちゃったんだろう? 例のサイト」

「サイトなんていつ消えてもおかしくないでしょう?それより集中! 試験近いんだから」

「あっ、はいはい」

昼休み、ミナはマカに勉強を教わっていた。

例のサイトが消えたことにより、【解放】の力が無くなったミナ。

しかし考え方が変わったのか、マカに勉強を教わるようになった。

「不思議なのはあの夜もそうなんだよねぇ。例のサイトの画面を見てから記憶は無いし、リビングは散らかってたしぃ。両親も何で散らかってるのか分からないみたいだったし」

「局地的な地震でもあったんでしょ?」

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