《MUMEI》 都市伝説はすぐ側に「そっかなぁ」 「そうそう。それより早く問題解いて。昼休み、終わっちゃう」 「うっうん」 慌ててノートに向かうミナを見て、マカは微笑みながら頭を撫でた。 「まったく。ミナは可愛いわね」 「えへへ」 嬉しそうに笑うミナを見て、マカは思った。 ―ああ…。この子の気は本当に美味しい― マカは若い人間の生気を喰う。 しかしその食欲以外、普通の女子高校生と何ら変わらない。 本当の年齢も学年と合っているし、見た目も変わることはない。 ―ただ、力を使う時に眼が赤くなる以外は…― そして若い人間の生気を喰うこと以外は。 マカの好物はミナみたいな純粋な心を持っている者。 【解放】する力を持つ者のように雑多喰いはしない。 普段は普通の食事で間に合わせているが、時々どうしてもたまらなく喰らいたくなる。 けれど喰らい過ぎると、喰われた人間は倒れてしまう。 一晩眠れば元に戻るが、都市伝説にまでなっているのなら控えた方が良いだろう。 しかし今はもう大丈夫。 ミナが側にいるから。 側にいるだけで、食欲は落ち着く。 だから平気。 「ん? マカ、どうかしたの? にこにこしてる」 「うん。ミナが側にいてくれて嬉しい」 「うん! あたしも嬉しい。ところでマカの進学先、あたしと同じ大学だけど、大丈夫なの?」 「もちろん。推薦でも良いけど、ミナと一緒に試験受けたいから、受験するよ」 「そっそうじゃなくてぇ。マカならもっと上の大学目指せるんじゃないの?」 「ああ、そんなこと。いーの。私はミナといたいから」 「マカ…。んっ、じゃああたし、頑張らなきゃ!」 「うん。一緒にいられるよう、頑張って」 ―そう。頑張って。 ずっと一緒にいられるように。 その為なら、私は何だってやるから。 私からあなたを奪うものは決して許さない。 誰にもあなたを譲らないから…― 前へ |
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