《MUMEI》
増井再登場!
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異様な緊張感が漂い始めたとき、

けたたましいバイクの爆音が学校の方に近づいてきた。


わたしたちは顔をあげ、そちらを見遣ると、


黒い特攻服を着た、リーゼントの男が、

ノーヘルで、バカでかいバイクにまたがり、

わたしたちのいる校門へ猛スピードで滑り込んできた。


わたしは、そのリーゼント男を、以前見たことがあった。



…………確か、


増井、とかいうヤツだ。



増井は櫻鷲会の庇護下にいる暴走族の一員で、まえに学校で起こった騒ぎから助けてくれたことがある。

増井は、義仲を見るとバイクから降りて、ひと懐っこく笑った。


「坊ちゃん、お待たせしました!!」


遅くなってスンマセン!!とハキハキと挨拶し、腰を90°に折り曲げる。

すかさず義仲は、ポカリ!と増井の頭にゲンコツをやり、坊ちゃんって言うな、と苦言した。

増井は頭をさすりながら、涙目で、スンマセン!と謝る。


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