《MUMEI》 乱舞冬広はバスタオルを掴む。取られてしまう。優里は早口で言った。 「待って冬広さん。部屋を暗くして」 「わかった」 冬広は照明を薄暗くしてくれた。 「ありがとう」 バッとあっさりバスタオルを剥がされた。初めて全裸を見られる。彼女は真っ赤な顔をして横を向き、目を閉じた。 冬広は軽くおなかを触りながら囁いた。 「優里チャン。綺麗だよ。凄く魅力的な体してるよ」 唇を結び、うっとりする優里。しかし冬広は照明を明るくしてしまった。 「やめて、やめて、恥ずかしい!」 「そんなことないよ。君の裸は最高に美しいよ」 「嘘…」 お世辞でも嬉しい。冬広のソフトタッチが心地良い。彼は上に乗り、耳にキスしながら囁きかける。 「優里」 「耳はやめて」 そう言うと余計に耳を攻められる。意地悪されて燃える優里は、顔を振りながら囁く。 「お願い、耳は許して」 とことん耳にキスから首筋、そして肩に舌を這わす。 膝は内ももに当たり、いつでも優里の弱点を狙っているようで緊張感が高まる。 手は巧みにおなかの周辺を攻めまくり、優里を困らせる。 冬広は彼女の唇に限りなく近い頬へのキス。 優里も大人の女。目を閉じて唇を無防備にする。冬広は軽く口づけた。嫌がっていない。今度は一気に情熱的なキス。 ついに愛しの優里の唇を奪ってしまった。 罪悪感。 今だけは忘れたい。女神のように美しい優里が、一糸纏わぬ姿で両手両足を拘束されているのだ。 大胆にも大切な体を自分の目の前に投げ出してしまっているのだ。 (後悔させることがレディへの礼儀だ) また都合のいい解釈を持ち出した冬広は、舌と手で優里の胸を攻めた。 「あっ…」 そのまま全身を愛した。さすがの優里も甘い吐息がもれる。 冬広は彼女の耳もとで囁いた。 「優里。女の子が裸で手足を縛られることが、どれほど危険なことか、教えてあげる」 「怖い」優里は笑った。 「虜にするよ、優里」 「そんな簡単に虜にされてたまりますか」 「強気じゃん。じゃあ、メロメロにされない自信があるんだな?」 「当たり前です。あたしをメロメロにできるものならやってごらん、自惚れ屋さん」 感度が人一倍いいくせに。自信ないくせに。強気の挑発をする優里。まだ何もされる前からドキドキしてしまった。 挑戦状を叩きつけられた冬広は、容赦しなかった。彼の愛撫は寝技のように優里を窮地に追い込む。 「あん!」 不意打ちに敏感なところを攻められて、優里は慌てた。 「ちょっとたんま」 待つわけがない。冬広は素早く優里の弱点を探しては同時攻めで切り崩す。 「あ、待って、あああ…」 口ほどでもない。冬広はいきなりフィニッシュを狙う。 「あああ…あああん、嘘、嘘でしょ?」 こんな簡単に落とされたら情けない。優里は唇を噛んで頑張った。 でもこればかりは、どこを噛もうが耐えられるものではない。 「わかった、待って、冬広さん、降参、やめて」 いくら何でも速すぎる。秒殺は好きな人でも悔しい。 (メロメロにすると言われて、まんまとメロメロにされてたまるか!) 優里は腰を浮かしてのけ反りながらも観念しない。 「くううう…」 冬広も容赦しない。愛しの人を落としてしまうのは、男の願望。トドメを刺した。 「あああん、やあん…ダメだ、無理」 力が入らない。気持ち良過ぎる。冬広は哀願しても許してくれそうにない。 優里は観念して身を任せた。 「はあ、はう、気持ちいい、気持ちいい!」 知的で上品な優里が乱れまくる。冬広も興奮と感動に酔った。 「そこは卑怯よ、そこは許して」 冬広はもちろんそこを攻めた。 「ダメ、あああ…あああん…あっ……」 落ちた。 冬広は優しくおなかや胸をソフトタッチして、彼女の快感の余波を長引かせる。 「はう、はあ…悔しい」 「悔しい?」 「悔しいよう」優里は目を閉じたまま口を尖らせた。 「ほどいて」 「甘い」 「え?」 前へ |次へ |
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