《MUMEI》 それを聞いて、マカはブレンドティーをふき出した。 「しょっ商品部と製作部?」 「ええ、マカもご存知だと思いますが、両方とも同属です。なのでもしかしたら、と思ったのですが…」 「ふむ…」 マカは顎に手を当て、考え込んだ。 「…お前以外の相手と組んでいると?」 「ありえないことではないですね。そもそも長から進められた方達ですから」 ああ、とマカは思い出した。 目の前のイトコが大学を卒業した後、雑貨店を開きたいと言い出した。 それを受け入れた長は、この店と商品を準備した。 普通の人間が害を受けるかもしれない、この店と商品を―。 「しかし…生を越えた死の領域は手を出さぬと、暗黙の了承だろう?」 「私達一族は己の力を使うことに躊躇いを感じませんからね。興味本位かもしれませんよ」 「興味本位で死の領域を踏まれちゃこっちが困るっ! 私は一般の女子高校生として、穏やかに過ごしたいんだ!」 「分からなくもないですが…私に言われても」 「まったくっ…! コレだから同属は嫌いなんだ!」 「…それ、私の前で言わないでくださいよ」 「ああ、同属だったな。お前も」 マカは剣呑に言い放ち、ブレンドティーを飲んだ。 「はぁ…。一応、長に聞いてみますか?」 「素直に答えるとは思えんな。私達の表の顔のことは同属でもそうそう簡単には言えんはずだからな」 「厄介ですね。…私の方から調べてみますか?」 「…やり方としてはそれが一番手っ取り早いが…危険は? 普通の人間相手ではないんだぞ?」 「それは分かっていますが、調べるぐらいなら大丈夫でしょう。邪魔をしなければ、ね」 意味深に笑う店主を見て、マカは深くため息をついた。 「今はそれしか手がないか。じゃあ何か分かったらケータイに連絡をくれ。くれぐれも、人前には現れるなよ!」 「ヒドイ言い様ですね…。でも分かりました。マカはあまり動かない方がいいですよ。貴女、結構動き派手なんですから」 「…悪目立ちして悪かったな。そもそもバカをやらかした同属の後始末、誰がやっていると思っているんだ?」 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |