《MUMEI》 決断「なら、マカはどうする気だ?」 「…母様に会う。会って止める」 マカの眼には光が宿った。 「だが、その前に」 目の前にいる実父を睨み付ける。 「あの人形の製作をやめさせろ。どう取り引きしているのか知らないが、一般の人間に渡すのもだ」 「それは…カノン次第だね。あの家の中にはいるけれど、全てを取り仕切っているのはカノンだから」 「どうやってそんなことを…」 「まっ、会ってみれば分かるよ」 そう言ってマサキは立ち上がった。 「さっ、行こうか。送るよ」 本家に行く。 僅かながらもマカは緊張していた。 本家に行くには、一般の道路以外の道も通らなくてはならない。 つまり、一般の普通の人間ならば、絶対に行くことのできない所に、マカ達一族の本拠地があるのだ。 マカは跡継ぎゆえに、一族全てを受け継がなければならない。 それは影も闇も、だ。 人成らざるモノでありながらも、人として生きるにはリスクが大きい。 だがそれを承知で今の人生を歩んできた。 もう―後戻りはできない。 そしてその道を邪魔するのなら、誰であろうと容赦もしない。 前へ |次へ |
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