《MUMEI》 あってはならない現実「マノンったら…」 カノンのその言葉に、マカは血の気が引いた。 そのまま奥へと進む。 少し小高くなっている場所には、一本の木が植えられていた。 そこの木の元には、カノンともう一人―。 「なっ…!」 ―そこでマカは言葉を無くした。 ふらつくも、マサキに支えられる。 「まさかあそこまでいっているとは、ね…」 マサキの声は、震えていた。 「…あら? マカ?」 美しい着物を着たカノンが、無邪気な顔で振り返った。 「帰って来たのね。声、かけてくれたらよかったのに。ねぇ、マノン」 「そうだね。母さん」 「っ! カノンっ! 何てことをっ!」 思わずマカは叫んだ。 カノンの側には………マカと同じ顔の少年がいた。 マカと同じ顔の作りだが、色素が薄い。 マカの通っている高校の男子制服に身を包み、マノンは笑顔でそこにいた。 いてはいけないモノが、目の前にいる。 マカは眩暈した。 けれど自分がしなければいけないことは分かっていた。 足に力を入れ、駆け出した。 そしてカノンの頬を叩いた。 パンッ! 前へ |次へ |
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