《MUMEI》 「きゃっ…! マカ、いきなり何を…」 「何を、じゃないっ! 何ではこっちのセリフだ! 何故静かにマノンを眠らせてやらなかった!」 カノンの肩を掴み、マサキに渡した。 「マノンは人間だっ! 生き死にを勝手に操ってはいけないんだっ! 何故禁忌に触れたんだっ!」 「そんなに責めちゃ、かわいそうだよ。姉さん」 この場でも平然としているのは、マノンだけだった。 マカは弟を睨みつけた。 「マノンっ…! この世によみがえりたかったという気持ちは分かる。だが分かってくれ。お前はこの世にいちゃいけないんだ」 「マカっ! あなた何てことをっ」 「誰のせいでこんな言葉を言ってるんだと思うんだっ!」 マカの鬼気迫った表情に、カノンは黙った。 マカは深く息を吐き、改めてマノンと向き合った。 「…大人しく、再び眠る気は?」 「さらさら無いね」 そう言ってマノンは立ち上がった。 「理由や原因はどうであれ、ボクは生き返れた。みすみす闇に戻るつもりは無いよ」 けろっと言い放つマノン。 マカは歯噛みした。 「ならっ、強制的にでもお前を闇に返す!」 「マカ! 止めて!」 「マサキ! カノンを止めておけ! 巻き込んでも責任は取らんぞ!」 マサキは頷き、カノンを抱き止めた。 「カノン…。これは二人の問題だよ」 前へ |次へ |
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